この記事は、ハリーポッターシリーズの映画・原作のネタバレを含みます。
未鑑賞の方はご注意ください。
リリーとスネイプは、ホグワーツに通う前から仲が良く、入学後は違う寮に振り分けられたものの、二人の友達関係は継続していました
スネイプがジェームズにいじめられた時には、リリーはスネイプをかばい、傲慢なジェームズに対して強い嫌悪感を示していました
しかし、最終的にリリーが結婚相手として選んだのは、スネイプではなくジェームズでした
なぜリリーは、ジェームズを嫌っていたにも関わらず、ジェームズと一緒になることを選んだのでしょうか?
そしてなぜスネイプは、リリーに愛想を尽かされてしまったのでしょうか?
マグルへの差別をやめなかった
リリーがスネイプに愛想を尽かしたのは、リリー本人がマグル生まれであるにも関わらず、スネイプがマグルへの差別をやめなかったからです
スネイプは、マグルの父親との関係性が険悪で、愛情をあまり受けずに育ちました
そういった影響からか、スネイプはマグルを軽蔑するようになり、マグル生まれの魔法使いや魔女を『穢れた血』と呼んでいました
リリーもマグル生まれの魔女ですが、スネイプはリリーだけは例外としていました
しかし、リリーがジェームズにいじめられているスネイプを庇った時、辱しめられたと感じたスネイプは口が滑ってリリーを『穢れた血』と呼んでしまいます
「お願いだ――聞いてくれ。僕は決して――」「――わたしを『穢れた血』と呼ぶつもりはなかった?でもセブルス、あなたは、わたしと同じ生まれの人全部を『穢れた血』と呼んでいるわ。どうして、わたしだけが違うと言えるの?」セブルスは、何か言おうともがいていた。しかし、リリーは軽蔑した顔でスネイプに背を向け、肖像画の穴を登って戻っていった……。
出典:『ハリー・ポッターと死の秘宝』原作小説より
さらに、スネイプはエイブリーやマルシベールといったのちに死喰い人(デスイーター)となる連中と仲が良く、ゆくゆくはヴォルデモートの一味になろうとしていることを否定もしませんでした
実際にスネイプはのちに死喰い人となり、ヴォルデモートの仲間に加わりました
つまりスネイプは、ヴォルデモートの思想を肯定していたということです
ヴォルデモートの支配する世の中になれば、迫害されるのはリリーのようなマグル生まれです
そんな思想を持ったスネイプとは、一緒になるどころか、友達でいることすらリリーにはできなかったのです
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ジェームズの成長
対してジェームズは、人種に対する差別を嫌い、親友のリーマス・ルーピンが狼人間だと分かった時も、突き放すことはせず、今まで通り接しました
それどころか、自分たちもアニメーガス(動物もどき)となることで、狼になったルーピンにも寄り添えるようにしました
また、リリーのようなマグル生まれに対しても、差別することは一切ありませんでした
しかしジェームズは、傲慢な性格で、闇の魔術に対する嫌悪感から、スネイプをいじめていました
リリーもそんなジェームズを、「傲慢ないやなやつ」として嫌っていました
「かっこよく見せようと思って、箒から降りたばかりみたいに髪をくしゃくしゃにしたり、つまらないスニッチなんかで見せびらかしたり、呪いをうまくかけられるからといって、気に入らないと廊下で誰彼なく呪いをかけたり――そんな思い上がりで膨らんだ頭を乗せて、よく箒が離陸できるわね。あなたを見てると吐き気がするわ」リリーはくるりと背を向けて、足早に行ってしまった。
出典:『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』原作小説より
リリーはジェームズとデートするくらいなら、巨大イカとデートする方がマシだと考えていました
リリーのジェームズに対する印象は最悪のように見えますが、どうしてリリーは心変わりしたのでしょうか?
シリウスとリーマスによれば、ジェームズの高慢ちきが少し治り、おもしろ半分に呪いをかけたりはしなくなったからだと言います
スネイプに対してはまだ呪いをかけたりしていようですが、それはスネイプが隙あらばジェームズに呪いをかけようとしていたからだそうです
ジェームズもスネイプも欠点のある人間でしたが、少なくともジェームズは、リリーに喝を入れられたことで反省と成長の兆しを見せました
しかしスネイプは、リリーに何を言われようと、闇の魔術に傾倒することや、マグルに対する偏見を改めようとはしませんでした
その違いが、結果的に大きな差を生んだのだと思います
また、ルーピンはリリーについて、「人の美点を見抜く人だった」と言っています
皆がスネイプを嫌っている中、リリーだけがスネイプを庇い続けたのは、きっとリリーがスネイプの良い面を見出すことができたからでしょう
ジェームズにも、正義感が強く、友達想いであったりと、良い面がたくさんあります
リリーはそういった面を見抜いていたのだと思います
リリーの選択は正しかったのか?
映画版では、スネイプがより”悲劇のヒーロー”らしく描かれているため、スネイプよりもいじめっ子のジェームズを選んだリリーはひどい人間だと考える人もいますが、私は全くそうは思いません
たしかにジェームズもひどいことをしましたが、より良い人間に変わるために努力できる人でした
卒業後は不死鳥の騎士団に加入してヴォルデモートと戦い、最後にはリリーとハリーを守って死にました
対してスネイプは何をしたでしょうか?
彼は死喰い人となり、ヴォルデモートの行うマグルの迫害や殺人を支持しました
さらに、ハリーが狙われるきっかけとなるトレローニーの予言を、盗み聞きしてヴォルデモートに伝えてしまいました
スネイプが予言を伝えていなければ、ハリーが狙われることもなく、リリーとジェームズが死ぬこともなかったでしょう
予言がリリーの息子に関するものだと気づいた時、スネイプはリリーを殺さないようにヴォルデモートに懇願しましたが、ジェームズやハリーのことは気にもかけていませんでした
リリーさえ無事であれば、たとえリリーの愛する人が死のうとどうでもよかったのです
そもそも予言がリリーに関係していなければ、誰の子供が死のうと気にしなかったでしょう
ただし、そんなスネイプも過ちに気づき、より良い人間に変わったのは確かです
ヴォルデモートのもとを離れ、ダンブルドアに忠誠を誓った後、彼はあらゆる危険を冒してハリーの命を守りました
しかしスネイプが改心し始めたのは、リリーが死んでしまった後です
リリーが死んで初めて、スネイプはどれだけ自分が愚かだったかに気づきました
私はスネイプがジェームズよりもマシな人間だったとは少しも思いませんし、リリーの選択は公平で正しいものだったと思います
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