この記事は、ファンタスティックビーストシリーズの映画のネタバレを含みます。
未鑑賞の方はご注意ください。
『ファンタスティックビーストとダンブルドアの秘密』では、新しい魔法動物として『キリン』が登場します
キリンは特別な魔法動物で、魂を見通す力を持っています
その力でキリンは善良な人物を見抜き、また邪悪な人物をも見抜きます
そして、純粋な魂の持ち主の前ではお辞儀をします
このキリンの能力は、昔から魔法界の正当な指導者を選ぶために使われてきました
今作で行われた国際魔法使い連盟のリーダーを決める選挙で、本物のキリンはダンブルドアにお辞儀をしました
しかし、”純粋な魂の持ち主”という点で見れば、ジェイコブの方がふさわしい気がします
ダンブルドアは、純粋というよりも、善と悪が入り混じったとても複雑な人間です
なぜキリンは、ジェイコブではなくダンブルドアにお辞儀をしたのでしょうか?
キリンは正当なリーダーを選ぶ
グリンデルバルドは、「キリンが生まれるとき、盟主が世界を変える」と話していました
つまり、キリンの誕生は、魔法界に良きリーダーが現れることを意味しています
このことから、キリンがお辞儀するのは、純粋な心を持った”指導者”であり、ただ純粋な者を選ぶわけではないと考えられます
ジェイコブはたしかに純粋な心の持ち主ですが、指導者としてふさわしいかはわかりません
ではダンブルドアは、指導者としてふさわしいと言えるのでしょうか?
ダンブルドア本人に言わせれば、答えはノーです
ダンブルドアは三度も魔法大臣になるよう依頼されましたが、彼は一度たりとも大臣になることを望みませんでした
なぜなら、ダンブルドアは自分が権力の誘いに弱いことを自覚していたからです
若い頃のダンブルドアは、グリンデルバルドと立てた魔法界とマグル界を支配する計画に魅了され、家族をないがしろにしました
この最大の過ちから学び、ダンブルドアは権力の座に就くことを拒否してきました
しかし、それこそがリーダーに必要な素質ではないでしょうか?
興味深いことじゃが、ハリーよ、権力を持つのに最もふさわしい者は、それを一度も求めたことのない者なのじゃ。きみのように、やむなく指揮を執り、そうせねばならぬために権威の衣を着る者は、自らが驚くほど見事にその衣を着こなすのじゃ
出典:『ハリー・ポッターと死の秘宝』原作小説より
キリンにお辞儀をされた後も、ダンブルドアはその依頼を拒否しました
進んで権力の座に就きたいと考える者よりも、ダンブルドアはずっといい指導者になったはずです
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完璧な善人はいない
ダンブルドアが自分の犯した過ちについて打ち明けたとき、ニュートがダンブルドアに言った言葉が、重要なポイントを示していると思います
ラリーがさっき言ったことですが、完全な善人なんてめったにいない。でも、過ちを犯しても、どんなひどいことをしても、やり直す努力はできる。大事なのは、その努力です。
出典:ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密 映画オリジナル脚本版
どんなに善良な人間でも、間違いを犯すことは必ずあります
それでも、純粋な心を持っていれば、自分に非があることを素直に受け止め、過ちを正すために努力することができます
ダンブルドアはグリンデルバルドとの計画を優先し、家族をおろそかにした結果、妹のアリアナを失うことになってしまいました
しかしダンブルドアはその過ちを正すため、かつて愛したグリンデルバルドと戦うことを決意しました
また、クリーデンス/アウレリウスに死の呪いが放たれた時、アリアナの繰り返しにならないよう、ダンブルドアは必死でクリーデンスを守りました
そんなダンブルドアの努力が、キリンのお辞儀に値する人間にしているのだと思います
アリアナを殺していないという証
キリンがダンブルドアにお辞儀をしたのは、ダンブルドアの魂が無傷であることの証明でもあると思います
殺人を犯すと、その者の魂は引き裂かれます
ヴォルデモートは殺人を繰り返すことで何度も自分の魂を引き裂き、7つもの分霊箱を作りました
キリンがお辞儀をしたということは、ダンブルドアの魂は純粋なままであり、殺人は犯していないと考えられます
ダンブルドアは、アリアナを殺してしまったのが自分である可能性をずっと恐れていました
キリンのお辞儀は、ダンブルドアがアリアナを殺したのではないという暗示だったのかもしれません
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